はじめてのキャバクラ
ちょうど二十歳の時、パチンコ屋でアルバイトをしていた。
休憩時間に店長に呼び出され事務所に行ってみると
『君、最近ガンバってるから酒好きならコレやるよ。タダだぞ!』と
一枚のチケットを渡された。
シンプルに店名、地図と『お別れ会pm19:00~』とだけ明記されており僕は飲み屋の店員の人が辞めるんだなぐらいに思った。酒好きな僕にとってはタダ酒はありがたく、確かにこのところ店長が言うように働きづめだった。
その頑張りを素直に評価してくれた事も嬉しかったのでありがたくチケットを頂戴することにした。
バイトが終わり着替えてお別れ会の店に向かう。
場所は街中にあり地元では一番賑わいがある場所だ。
チケットにある地図を確認し店の前へ行くとチケットの雰囲気からは
かなりかけ離れたネオンぎらぎらの看板があった。
『キャバクラだ。。』一瞬、初めての経験でありたじろいだがタダ酒を飲めると自分に言い聞かせ呼び込みにチケットを見せ店内まで案内してもらった。
薄暗い店内に赤いソファーが怪しく光って女の子達がひしめいている。『みんな、日焼けしてるな〜』とギャルのキャバクラなのかなと思いつつ案内された席に着くと『ハ~イ』とアクセントが妙に日本語らしくない声が近づいてきた。見上げるとどうやら日本人ではなく、片言の日本語で
『ワタシ、アサッテフィリピンカエルキテクレテアリガト』と言った。
今まで、キャバクラ体験の無い僕が1人で突然キャバクラに行くはめになり、しかもそれがフィリピンパブだとは、、。
僕は、冷や汗を垂らしながら女の子が注いでくれるビール、焼酎をただひたすらに飲み干していたが、そのフィリピンの女の子は僕の緊張を察してかとても優しく明るく僕に接してくれ何時しか緊張も収まり楽しい時間を過ごせた。
お別れ会も終わり間近になり、その女の子は帰国が寂しいのか少し哀しげな顔をしている。
僕もつられて哀しい気持ちになり、『また、来るよ』と言って店を出た。
少し酔った足取りで帰り道を歩き
『キャバクラもあんがい良い所だなー!』と初めてのキャバクラ体験を済ませた僕はそう思った。
それから10年たった今でも忘れられないあの女の子が言った言葉がある。
『ニホンノシャッチョサン、ミナエッチネー!!』